2012年8月17日金曜日

スクール速報・くちなし

今日ご紹介するのは、ワーさんと愛培する姫くちなし
ワーさんは約1年前から熱心に通っているスクールの新人さんで、年齢は40代の半ば

とても几帳面でていねいな性分なので
盆栽のひと芽ひと芽にも注意力が及んでおり、将来を楽しみにしています

さて姫くちなしですが、去年の5月に、それまでのよりちょっと大きめの現在の一蒼鉢に入替え
樹勢をつけることに専心したきました

みなさんもご存知のように
くちなし盆栽には天敵ともいえる害虫がいますね

6月頃になるとスズメ蜂に似たオオスカシバがやってきて
気がついたときには、幼虫が葉を丸刈りにしてしまうことがしばしばです

そのため、よほどコマメにチェックしていないと
なかなかきれいに葉が揃いませんね

予防するには、6~9月ごろのオオスカシバの発生時期に
防虫ネットや金網などで覆った、箱状の避難場所を設けるのもひとつの方法です

さて、そんなわけで今年はオオスカシバの餌食にもならず、順調に葉がさがふえてきた姫くちなし
5月ごろにワーさんの持ち物になって数ヶ月が過ぎました


葉の色つやもよく葉がさもかなりふえて貫禄が出てきました

そこで、向かって左の枝に細めの銅線をかけて枝を下げました
向かって右の差した力枝は、針金で吊りをとって下方に下げました

まだ初心者のワーさんにはこのくらいが精一杯かな
それでも両枝を下げたために、木の構図にどっしりとした安定感が出て、スケールが格段に大きくなりました


正面のフトコロを拡大して眺めます
針金の掛け方が定法通りにはいっていませんが、オオメに見ましょう(盆栽の形優先です)


去年の5月ごろの画像

現在の画像と見比べてください

両方の利き枝がやや上向きなため
なんとなく木姿に重みが感じられませんね

この樹勢ならばこの夏中にもう一度芽摘みができます
そうすれば一段と葉がさもふえ、さらに重量感が感じられるようになるはずです

がんばりましょう!

2012年8月9日木曜日

散水口の取替え

一昨日が立秋だったとは言え、まだまだとても秋の雰囲気ではなく
盆栽人にとっては暑さとの闘いの毎日が当分続きそう

今年は寒冷紗の日除け設備に加えて、棚に人工芝を敷いた水対策のおかげで
水やり作業の負担はおおよそ半分くらいになり、盆栽の健康状態も順調のようです

とは言え、ちなみに申し上げると、「順調のようです」とあいまいな表現をしたのは
まだ寒冷紗の日除け設備での水やりのコツが完全に掴み切れていないので

かえって過水にならないように、かなり神経を使っている最中で、まだ自信満々とは胸を張れないからです
秋になって、「順調でした」と断言できるようにがんばります

さてそこで、今日のレッスンもやはり水やりに関係したことです


数ヶ月前に取替えた散水口の筒先

それがどこかへブツケタのでしょうか、一部が壊れてあさっての方角へ水漏れ
糸状の水の散り方にも強弱がみられますね

あなたもこんな筒先を使っていませんか? 
新しく取替えた↓の画像と見比べて下さい

新しい筒先の画像では
全体の水が平均してムラなく散っていますね

このように如雨露や散水口の筒先からは、平均してムラなく水が出るのが理想
とくに、植替えしたばかりの鉢の表面などは、このように圧力の平均した「柔らかい水」でないといけません

もったいながらずに、年に数回は取替えるように!

では

2012年7月30日月曜日

初めての寒冷紗

盆栽人になってから45年が経ちましたが
今年の夏、はじめて盆栽棚に寒冷紗を張りました

30年に一度といわれた猛暑日の連続だった一昨年以来
夏の寒冷紗はもう避けられないと思い始めていました

それでも昨年は、もう一年とばかり様子見で延長しましたが、
やっっぱり今年は実行すべしと、思い切って実行することにしたのです

というのは、例を挙げると、冬の寒さにも夏の暑さにも丈夫という点では第一番と考えられていた五葉松でさえ
近年では夏の置き場所の見直しがされはじめていることなどがきっかけになっています

この20~30年間の温暖化の傾向は激しいものがありますね

過保護を避け、適度に厳しい環境で育てることが培養姿勢の基本であり
その代表的な樹種が五葉松だったのです

しかし、近年の夏の暑さは、その五葉松でさえ耐え難く
夏には寒冷紗の下でないと葉焼けを起こすようになってしまうほどです

というわけで、正直もう我慢できないという感じで、水やり作業の軽減というよりも
やはり盆栽の健康を第一に考えて寒冷紗を張ることにしたわけです


雑木類の棚はばっちり西日も避け
寒冷紗の遮光率は50%のものを用いました

五葉松以外の松柏類(黒松、杜松、真柏など)の棚には
寒冷紗なし

ただし、五葉松だけは寒冷紗の下で雑木類と同居


盆栽屋.comの水やりは、真夏日では平均一日に3回から4回に葉水など数回でしたが
寒冷紗のおかげで一日2回と中間の部分的な拾い水(乾いた鉢だけやること)と、
風のある日などは数回の軽い葉水、くらいですむようになりました

西日を避けるために短めのカーテンのようにつり下げた寒冷紗
通風のことも考慮して蚊帳状に下までは張らないようにしました↑↓


寒冷紗を張ってみてすぐに実感できた効果

1 乾き方がゆっくりなので、急激な乾燥でうっかり葉焼けを起こすことがなくなった

2 夏の暑い盛りは、急激な乾燥を恐れて、ついつい前倒しで水やりを行いがちだが
  「乾いたらやる」という水やりの基本が守れる

3 そのため、過水に陥る鉢もなく、全体に適度な湿り気を保てる

4 おなじく、過湿の傾向がなくなったので、ナメクジが少なくなった

5 枝や幹を太らせるための、徒長させる枝先の芽が焼けずに
  寒冷紗の下ですくすくと伸びている

などなど、水やり手間の軽減よりも
水の量が少なくてすむために生じる培養上の利点が主だったことでした

2012年7月4日水曜日

スクール速報(超ミニもみじ分身の術)

アニメ漫画の「ナルト」ではないがスクールのベテラン・クロちゃんが分身の術(株分け)を使って
親株からゲットした懸崖の超ミニ山もみじとその親株をご紹介します

クロちゃんはフリースクールの当初からのメンバーで、寡黙で一見のんびりした風貌に似合わずやることは大胆で
その発想はときに予想外のいい線をついていて、私自身も示唆を得ること多々ありです

きっと肩に力が入りすぎていず、自由に盆栽を楽しんでいる故に
あのようなおもしろい発想力が生まれてくるのだと感じています

それでは、まず親株の現在からご紹介いたしましょう


6月10日撮影 樹髙はおそらく5.0~6.0㎝くらい

樹齢20年くらいのだったのを5~6年前にクロちゃんに買っていただいたので
現在では、すでに25年以上になる

無理な肥培はしていませんが、培養のよろしきを得てずいぶんと太りました
とくに足元の座が大きくなったので、大木の相が感じられて、とても超ミニサイズとは思えませんね

幹のコケ順にうるさいクロちゃんらしく、太い足元から主幹にかけてのコケと模様のつながりはグーで
左の子幹が力強く構図を支えていて、まとまりもよし

山もみじのこのサイズでは文句なく逸品といえるでしょう
それに、葉性がすばらしいのも強みの一つですね

クロちゃんはこの完成に近い段階でも、さらなる大改作の構想を持っているようなのですが
私としては、あと数年は基本はこのままじっくり持ち込んでほしいと思い、強く押しとどめている次第です


足元の拡大図

主幹と左の第一副幹、それを囲む数本の細い子幹の関係がわかりますね
なお、このもみじは今年も葉刈りをせず、芽摘み、片葉透かし、葉切りなどの手入れで維持されています


ところで、右の足元の赤印の位置にあったんです、懸崖の超ミニは!

上側の子幹のように、株元にあった子幹の元からたった一本の細い根が生えていました
その子幹の姿と根に目をつけたクロちゃんが、親株からそれらをソーット切り離して育てたのが、↓の懸崖なんですよ

親株の元には肉巻きしたその時の痕跡がまだあります
4~5年ほど前のことだったと記憶しています


2011秋の画像 樹髙4.0㎝

現在この懸崖ミニは四国の愛好家さんに可愛がられていて、先日画像を見せていただいたところ、足元の立ち枝は既に切られていて
行く末の楽しみな本格懸崖樹形への道を順調に歩んでいます


ついでに親株の後ろ姿も見てください


足元、主幹、子幹の関係がわかりますね

この親子のさらなる成長と向上を楽しみにしています
また機会があったら親子揃ってつれづれ草に出演してほしいですね

それでは! (⌒ー⌒)ノ~~~

2012年6月4日月曜日

けやきの葉刈り

昨年のつれづれ草で勉強した「けやきの芽摘みと葉刈り法」

ところが、フリースクールの生徒さんの作品に限っては、一生懸命頑張ったひとよりも
芽摘みや葉切りをやや怠け気味にやったひとの方が、かえっていい結果が出ているという傾向があります

がんばった生徒さんのは枝先がゴツクなったり
ぎゃくに細く軟らかくなったと思ったら、冬場に枝枯れを起こしたひとが多かったようです

そんな皮肉なことになってしまったので、教える側としては大いに反省したわけですが
とにかくその原因がわかったので、ここでもういちどしっかり勉強のし直しをしたいと思います

それでは!

さて、私が昨年の勉強で特に強調したかったのは、次のことがらです

(以後昨年の記事より) 

特に注意するポイント(重要)

1,2、3芽と芽先を数えてみて、この場合のように1芽目の節間が極端に狭い場合は


2芽を残して摘むようにします
1芽目で摘むと昨年枝の元に複数の芽が吹いてしまい、その箇所がゴツクなる恐れがあるためです

(ここまで昨年の記事)

と申し上げました

ところが、1芽ヒトメと思い込んでしまったひとは、頭ではわかっていてもいざハサミを持ってみると
ついつい節間が短かくとも、1芽のところまで追い込みを繰り返し過ぎてしまったのです

結果は、近い位置に芽がたくさん吹きすぎて枝先がゴツクなってしまい

さらに、新芽の先端がまだやわらかいうちに頻繁な芽摘みを繰り返したため
枝先がやせ細り、冬に枝枯れをおこしてしまった、ということです

しかし、一回くらいのの失敗にくじけずに
次のことがらを頭に叩き込んで、あらためてけやき盆栽の管理に挑戦してくださいね

またこれからは、木の成長段階や勢いと相談しながら
今年これから勉強する方法と昨年の方法とを、適宜に使い分けてください


今年の作業を見て下さい

春に植替えました
春の新芽は軽く芽摘みがなされています


芽摘みの拡大図(重要)

春の新芽が4~5節伸びたころに3芽くらいを残して先端を摘みました
既に摘まれた先端から新しい芽が伸びかかっています


葉はすでにいくらか固まりかけています
葉が固まりかけた今ごろが葉刈りの適期です

固まった葉は、手で軽くふれると「ガサガサ」という感触があります


葉が固まったけやきは、指先で引っ張っても葉柄の元の芽は取れませんから
ハサミで切らずに指先で引っ張って葉を取っても大丈夫


頭頂部から始めると作業が楽


ピンセットを併用しながら丁寧に


あらかたの葉は刈り取られましたから、次は剪定の段階に入ります


枝先は1芽残しで切るのが原則ですが
昨年も申し上げた通り、節間が短い場合は2芽以上を残して切るのが鉄則です


フトコロにもぐっていた徒長枝などは元から掻き取る


不要芽が徒長しています
これらもピンセットで元から掻き取る


1から2芽を残して枝先の剪定も終わりました

これで葉刈りは終了ですが
これからの管理についてもお話ししなければなりませんね

そこで今後の培養ポイントです

1 入梅から夏にかけての肥料はやや控えめに
  あまり樹勢をつけると芽が伸びすぎてしまいます

  年間を通して、葉刈り前に1~2回、秋9~10月に2回くらい

2 入梅から夏にかけて、けやきはグングン芽を伸ばします
  その場合の芽摘みも2~3芽くらいを残して長めにやっておくこと
  あまり強く芽摘みを繰り返すと、そこに多くの芽が集中して枝先がゴツクなります

3 ただし、かぶさった葉は適宜に透かせて
  フトコロに採光と通風をはかることを忘れてはいけません

4 落葉後の的確な剪定によって、1芽残しかそれ以上に追い込んで
  骨格の見直し、サイズの短縮などを行います

では

2012年5月18日金曜日

けやき実生挿し木・その2

さてこれから、けやきの実生挿し木の「その2」に入るわけですが
初心者の方は、改めて過去のけやきに関するこのページと、下の画像をよく見てください



繰り返しになりますが、この実生挿し木はけやき盆栽の命ともいえる

1 の根張り

2 の素直な立ち上がり

3 1から3までの立ち上がりの短縮

それらを作り上げるための必須の技術なのです
初心の方は、そのことを念頭に入れてこれからの後半を読んで下さいね


作業日 4月25日

挿し木の前に、あらかじめ水やりを行なった植え土に穴をあけておきます
ちょっと大きめの方がいいでしょう


作業日 4月25日

発根促進剤(ルートンなど)を切り口に塗布します


作業日 4月25日

切り口の先端を傷めないようにそっと挿します


作業日 4月25日

挿し穂は真っ直ぐに上に向けて直立させることがコツ
せっかく真っ直ぐな立ち上がりを作ろうとしていることを忘れないで

最後に、足元を軽く押さえておきます


作業日 4月25日

こんな要領
丁寧にやれば別段むずかしいことはありません


作業日 4月25日

こんな感じ
長めの挿し穂なので貝割れ葉が地表からかなり離れています


作業日 4月25日

6×8=48本が仕上がりました
上から静かにたっぷりと水やりをして作業完了

さて、実生挿し木の作業は案外簡単でしたが
これからの管理は少々神経を使ってくださいね

何と言っても、発芽したばかりの苗は根を切られてしまっているし
本葉も固まっていず、まったく頼りない状態ですからね

これからの培養管理のポイントです

1 10日ほど風の当らない日陰に置く

2 その間、噴霧器で一日数回の葉水をやる

3 一週間くらいかけて、少しずつ外気に慣らしていく(葉水励行)

4 曇りか雨の日を選んで棚上での管理に移る


棚上での管理に移ったばかりの苗(5月8日日観察撮影)

挿し木をしたときにはまだなかった十字葉も出て
葉の色つやも良好です

これからは一般の盆栽と同じ棚の上で管理しますが
とにかくまだ幼いため、水切れには最大の注意をはらいます

それでは、実生挿し木の作業はこれで終了しますが
これらのけやき苗の生長は順次みなさまにご報告しますので、お楽しみに

では

2012年5月12日土曜日

けやき実生挿し木・その1

けやきの箒作りのもっとも基本となる
真っ直ぐな立ち上がりと八方根張りを実現するための技法が実生挿し木

もちろんある程度の成木になってからの取木も可能ですが
とくにミニサイズ(15㎝以下)の箒作りの場合は、実生からじっくりと作り込んでみたいものです

そこでフリースクールのみなさんにも、基本から体験してもらいたいとの思いで
秋に採取した種子を冷蔵庫で保管し、3月19日(彼岸)に播種しました


早いものは4月中旬には発芽し、最初に貝割れ葉(円い葉)が出て
その先に本葉が伸びかかってきます

まだこの段階では、実生挿し木を実行するには
やや早すぎます


早くともこのように貝割れ葉の先に本葉が出て、それがやや固まるころまで我慢
やや早めながら、このあたりからが実生挿し木の実行可能な時期となります


最初の本葉が固まり、それに交叉するように左右に出てきた葉を十字葉といいます
このあたりまで我慢すれば、かなり活着率もよくなります


ただし、下の画像(本葉の出始め)と見比べてください
この時期になると、貝割れ葉と本葉の間がかなり伸びていますね

ですから、ミニサイズを目指すひとは、管理に手間がかかり活着率が落ちるのを覚悟して
早め早めに挿し木を実行し、可能な限りサイズの短縮を計るわけです

ですから、実行される方は種子を多めに播いて、それらの発芽と成長にあわせ
順番にいろいろな成長の段階で実行していけばよろしいでしょう

それでは実際の作業に進みましょう


作業日 4月25日

貝割れ葉の上に本葉が出始めた段階の苗
ちょっと早めで活着率は落ちるけれど、実生挿し木が可能な段階に入りました


作業日 4月25日

絶対に乾かしてはいけませんから
あらかじめ水を入れたバケツを用意してから苗を採取すること


作業日 4月25日

輪切りした大根がまな板になります

長い矢印が貝割れ葉と本葉

本葉の位置が最初の枝分かれになるので
枝下の長さは目的によってどこから切っても自由ですね

つまり樹髙の低い木を望むならば貝割れ葉の下1㎝くらいで
高い木ならばできるだけ根に近い箇所で切ることになります


作業日 4月25日

よく切れるカッターを使いましょう
貝割れの約1.5㎝ほどで切りました


作業日 4月25日

この苗は約2.0㎝くらいはあるでしょうね


作業日 4月25日

こんな感じ


作業日 4月25日

実際に計ってみましょう


作業日 4月25日

この苗は本葉が既に固まり
十字葉が出てきた段階ですね

このように、同じ日に播種して、発芽と成長は一様ではありませんから
約一ヶ月くらいの間に順番に実行が可能です

つづく

土払い品500鉢

10日ほど前に隣市の某愛好家さんから土払い(どばらい)のお話しがあって引きうけることにしました。盆栽界で土払いというと、盆栽や鉢などすべての持ち物の売買のことをいいます。 プロでもアマチュアであっても、生き物(盆栽)の後継者がいない場合は売り払うか、さもなくば枯らすことになります...