2007年5月23日水曜日

作る・きんず2

このように思い切った改作の切り込み時には
なまじ葉を残さない方がその後の芽吹き芽の数が多いのです

一枚でも葉を残すと、勢いがその葉に集中し
他の箇所への芽吹きを阻害してしまいます



完成まじか



この画像は昨年の完成予想図



切り込み完成図

昨年の予想図よりも枝が多いですね
やはり実物に触れるとちょっと異なる箇所も出てくるものです

さて、頭がちょっと長いですね
でも切り込む勇気が出ないんですよ

今の長さならば芽が吹いてくれる自信があるのですが
予想図通りの切ると、いいところに吹いてくれるかが心配で、思い切れませーん!

期待が大きい優良素材の場合
思い切れないこともたびたびあるんです

イクジナシー!

しかし、ここで思い止まるのも男の決断
そう言い訳をして、ここまでにしておきます

さらに、保険に一芽残しました



後ろ姿

切り込み後の管理
置き場所・直射日光の当たらない片屋根の下で一日数回の霧水をやり
鉢の中はやや乾かし加減(多水だと根腐れします)

近々に芽吹きの様子をお知らせします

作る・きんず素材

2006/07/22と同じく07/25に紹介したきんずの優良素材
得がたい素材なので、どうしても慎重になってしまい、昨年には切り込みはできませんでしたが

しかし、今が適期
思い切ってとっかかることにしました

きんずは寒さの嫌いなことでは代表的な樹種
植替えや強い切り込みは必ず5月まで待って、入梅までに行います


現在の状態


将来の役枝を、おおよその長さに切り詰める

ここで問題なのは、一の枝とその後ろにある枝の中間にある太い枝
将来のためには切りたいのですが、いかんせん傷が大きくなる

ここが思案のしどころ


やはり切りました
きんずはヤケにくい樹種であることと、両側に枝があるので肉の巻き安い場所だから


こんな感じです


切り口は削りなおしてカットパスターを塗りましょう
傷の直径は約1.5cm、2年で完治を目指します

2007年5月10日木曜日

獅子頭の葉透かし

人気樹種の獅子頭もみじですが盆栽としての絶対数は不足気味
実生ができないため、接木でしか殖やすことができないのがその理由です

盆栽用素材は、さらに取り木をかけてゲットするのですが
よい根張りのもを得る確率は低く、熟練の技と根気が必要です(ミニ素材はなおさらです)

今日はちょっとばかり自慢できる素材を教材にして
徐々に枝作りにかかるときの手入れのコツをご説明します


接木苗の上部を切り込みあらかたの樹形の基本を作り込んだものに、二年越しに取り木をかけ
台木から外して仕立鉢で二年間経過した素材(樹高6.0cm)

このように優良な素材を得るまでにはけっこう年月がかかっていますね


根の充実とともに枝葉の伸長が活発になってきています
今年は飛躍的に樹格の上がる年ですから、勘所を外さないようにがんばりましょう

春一番の芽摘みと軽い葉透かしを実行、今回は二回目の手入れになります


山もみじのように徒長しませんから、現在の枝を少しずつ追い込んで姿を整えていきますが
そのためにはフトコロ芽に勢いをつける必要があります

各枝先を一節残しで積み込み、さらに残った二枚の葉の片方を刈り取ります
つまり芽摘みと葉透かしを同時に行うことになります

さらに残った一枚に葉切りを施します
根気の要る作業ですが、一芽一葉の扱いにも細心の注意を注いで慎重に実行


作業終了

作業前と比べて葉の数はざっと三分の一くらいに減りました
これでフトコロ芽が元気に活動を始めることは請け合いです


作業後のボディーの拡大図


同じく作業後にやや下方より見た拡大図

向かって右の一の枝の先端が跳ね上がっていますね
将来その手前の芽に力をつけ、先端の半分を切り落とし、枝の芯を下方に向け整えます

また上部には芯を立て替えるために切り戻した痕がありますね
幹の芯はここで右方向に向かっていますから、この箇所も来春に削りこんで肉巻きを図ります

さあ、あなたも二度目の芽摘み葉透かし、それに葉切りなど
勘所の作業を実行してください

獅子頭もみじだけでなく、雑木類一般にあてはまる手入れですよ

2007年5月9日水曜日

楓寄せ植

桜の花が終わってからの今ごろまでが、一年中でもっとも自然が輝く季節
野山の緑が目に染み入るようです

同時に盆栽人にとっては、一年を通じってもっとも気ぜわしい季節でもあります
雑木の植替えとムロ出しにつづいて、松柏類の植替えが終わったとおもったら芽摘みに追われ

肥料をやっていると新芽の先にアブラムシを発見、慌てて消毒
ともかく仕事は次から次にありますね

もっとも、年間の盆栽の作柄は入梅までの約二ヶ月の世話で決まるといっていいので
気を抜かずに、がんばれ、がんばれ、みずからを励ましている最中です



昨春に根を洗った楓の寄せ植えの作柄も順調です
水を辛め(少なめ)に培養しているせいで、小枝も落ち着き徒長しません

数日うちに軽く芽摘みをして、同時に葉も少々透かしてやろうと思っています
ところで写真をよくご覧下さい、寄せ植えの鉢土の上に肥料が置いてありませんね

そう、完成に近づき小枝作りがポイントになっている雑木類には
春の肥料はやってもほんの少々、若木のようにはやらないようにしましょう

当然のことですが、老木と若木の培養法は少々異なります

2007年3月25日日曜日

杜松春の手入れ

本題に入る前にちょっとムロ出しのお話

私は昨日(土曜日)、植え替えたものを除く松柏類のムロ出しを行いました
ただし杜松と杉はあと10日くらいはムロ暮らしをしてもらうつもり
雑木類も芽出しの様子と天候を見比べならが、10日後あたりからと思っています

土曜日の夜から日曜日にかけては曇りから雨の予報で
気温も高かったのでチャンス到来でした

よろしいですか

ムロ出しは

1 雨の日
2 曇りの日
3 そしてなるべく気温の高い日

を選びましょう

ムロ出しに不適当な日とは

1 風の強い日
2 カンカン照りの日
3 そして気温の低い日

なのです、その理由は?
たまにはご自分で考えてみましょうね

それでもわからなかったら、ご質問下さい

さて、今日の教材は杜松です


高齢の愛好家の放出品
手に入れた時点では新芽の内側のフトコロに、枯れっ葉がたくさんこびりついていました

杜松は暖かい気候を好むので、今の時期にハサミで切り込むのはまだ早い
そこで先の細いピンセットでフトコロを丹念に掃除しました

いつもお話しするように、切ったりはったりだけが盆栽の手入れではありません
掃除をして清潔に保つことが、まず手入れの第一なのです






いかがですか
きれいになったでしょ

下から見ても葉と葉の隙間から向こうの空間がのぞいています
こういうふうでないと、フトコロに日も風も入らないので蒸れてしまいますね


何時でもこのようにフトコロの枯れっ葉などを掃除し、清潔にしておいて下さい
培養上とても大切なことです


後ろ姿

2007年3月24日土曜日

腐乱病

くちなしや姫りんごに「腐乱病」と呼ばれる、ちょっと怖い病気があります
まず形成層が腐り始め、表皮部分もおかされ、幹の周囲が腐るとついには枯れ死してしまうのです

主に根張り付近の足元から発生することが多いようなので
日ごろから足元に腐れが入っていないか注意しましよう

最近までは適した治療方法が見つからず
ひたすら樹勢の回復を図り自然治癒を待つという、古式の対策しかありませんでしたが

そこで、私の親しい同業者が筑波大の先生にサンプルを渡し
この病原菌によく効く特効薬を見つけてもらいました

「トップジン・オイルペースト」がそのお勧めの薬品の名前です


愛好家が長年愛倍していた「姫国光」 樹高18×左右23cm

持込の古い、そう、姫国光としてはかなりのレベルの逸品ですが
数年前にその腐乱病にかかってしまいました


黒い部分が形成層が腐って木質部がむき出しになっている
懸命に樹勢をつけて面倒を見たおかげで、周囲に肉が巻き始めていますが

しかし、病原菌は幹の上部にまでおかして
表皮がガサガサになっていますね

このようすでは樹勢をつけてもつけてもイタチゴッコで
最後は全身に病原菌がまわって、ついにはご臨終となってしまうでしょう

枯らしてしまうにはあまりに惜しい
そこで前記の「トップジン・オイルペート」で治療してみます


薬剤をよく攪拌し患部にたっぷりと塗ります
表皮のヒダにも染み込むように


こんな感じ


表皮がガサガサした部分にも病原菌は蔓延していますから
冬芽の先を残してほとんど塗り込みます

この秋まで樹勢を落とさないことが肝心
結果はまたお知らせしますね

よろしいですか
「トップジン・オイルペースト」

2007年3月8日木曜日

日本かまつか

実物盆栽には本格的な模様木に作りにくい樹種がたくさんあります
枝の性質が伸びやすく、また伸びた小枝の先に花芽がつくからです

人気の日本かまつかなどもその部類に入るでしょうね
見かけるほとんどの盆栽は、株立ちか文人風が多く、本格模様木の小品にはめったにお目にかかれません

その日本かまつかの太幹の本格模様木が手に入りました
熱心なベテラン愛好家が長年丹精したもので、親しい同業者が紹介してくれたものです

日本かまつかには稀なことに、ボディーのシッカリ感と枝順がよく
丹念に作り込まれた枝先の味わいもみごとです

見ごろは、春4月ごろのコデマリ状の白い花とそれに続く小さい真っ赤な実成りです
おまけに、この小品のように枝先が繊細に作られていれば、冬の姿もなかなかのものがあります

日本かまつかの樹形としては、かなりのレベルで端正に仕上がっていると自負しています
つれづれ草で紹介し長く記憶に留めたいと思い取り上げました


ベテラン愛好家より放出されたかまつかの名木
逞しいボディーの持ち味を活かしきったセンスと技術が光ります

幹筋の流れや枝順、さらに枝先へと細心の神経が行き届き
重量感と繊細さがみごとに調和しています


逞しい立ち上がりの拡大図


一の枝のほぐれを拡大して見ます
古びた枝先の味わいは、寒樹の見どころです

このようにシマッタ枝先を作るには
整形の技術だけでなく高度な培養技術が必要となります


後ろ姿
幹に傷っけなし

在来の品種を「日本かまつか」と呼び西洋種と区別しています
西洋種は細幹の株立ち状に作ると風情のあるものです

土払い品500鉢

10日ほど前に隣市の某愛好家さんから土払い(どばらい)のお話しがあって引きうけることにしました。盆栽界で土払いというと、盆栽や鉢などすべての持ち物の売買のことをいいます。 プロでもアマチュアであっても、生き物(盆栽)の後継者がいない場合は売り払うか、さもなくば枯らすことになります...