2010年6月15日火曜日

スクール速報・さつき盆栽

陽気なターさんが参加した日は、スクールの雰囲気に元気が出ます
というのは、ターさんその人は健康面に大きな不安をかかえているにもかかわらず

そんなことをひとに感じさせず、自らに打ち克ってほがらかに生活しているからです
これは、自らの身におきかえると非常な勇気のいることだと思います

ですから私はいつも、ターさんから元気と勇気をもらっている気がしています
ターさん、いつもありがとう

さて、今日紹介するのはそのターさんのさつき盆栽で
品種名は日光という名品種から出た五光(ごこう)

樹髙は25㎝くらいで、太くはないが根張りがよく傷っけのない素直な幹筋をもち
枝順もよく自然体の感じのいい姿をしています

立ち上がり付近の枝を子幹として立ち上げて双幹風にまとめています
このような樹形を盆栽界では「途中双幹」と呼び、自由な自然味を愛する人が多いのです

聞いたところ、以前は仲間のツカさんの持ち物だったそうで
「おー、ターさん、いい木じゃないの」と私が褒めると、「そろそろオレに返せっていってんだよ」とツカさんが割って入りました(笑)


白釉の丸鉢が軟らかい幹筋を受けとめよく写ってますね

今年は4~5月の天候が不順だったので、さつき系統は10日から2週間ほど大幅に開花が遅れましたので
今が満開の時期です

さつき盆栽の手入れのコツは、この満開後なるべく早めに花摘みを敢行すること
初心者はついつい惜しくて遅れがちになりますが、ベテランは満開前の蕾の時期から摘み取り始めます

さつき盆栽にとってこれだけの花を咲かせ、さらに10日も20もそれを維持するのは大変なエネルギーがいるんですね
盆栽を過度に疲れさせないよう、早めの花摘みを実行してください

ですから、花摘みのあとに剪定をし、植替えた鉢以外のものには必ず肥料をやりましょう
このように開花のあとにやる肥料を「お礼肥」などと言ってますね



さつき盆栽の木肌は、古さの表現、例えば松泊類の深い割れやもみじ類などの美しい縦縞などが
他の盆栽樹種に比べやや希薄な感じがします

しかし、根張りの発達しやすい樹種なので、持ち込みものを注意深く観察すると
古色感も十分に堪能することが出来ます

このさつき盆栽も根張りがよく発達していますね

ターさんがツカさんから譲ってもらった数年前には、→で示した子幹の下
つまり立ち上がりの部分が、やや細かった(元細)そうです

でも、太い幹や枝の下は水揚げが活発ですから、気長に待てば必ず太って来るものなので
ターさんのさつき盆栽も元細はみごとに解消され、自然で逞しい立ち上がりの姿となったわけです

2010年6月1日火曜日

三年後のチリメン桂

盆栽樹種の中でも極端に成長が遅いことが知られているチリメン桂
それでも真剣に3年も培養すると、かなりの変化を見せてくれます

とはいえ、人間の記憶力はあいまいだし、成長の早い樹種に比べると微々たるものなので
写真を撮って画像を保存しておき、後で比較してみるのが一番です

比べてみて、出世していればこれからの張り合いになるし
もし下降線をたどっているようであれば、再建計画を立てるための指針にもなるでしょう

ご紹介するのは、フリースクールの常連のクロちゃんが挿し木から仕立てたチリメン桂の双幹ミニ
3年前、ある盆栽を買って頂いたときに下取りさせてもらったと記憶しています

たしかその当時で6~7年生だと聞いたようですから
そろそろ10年選手ということになります


2007年の姿(樹髙11㎝)

挿し木から無理な肥培をせずじっくりと育てたので
若木ながら幹筋や枝順などの基本的骨格はすでに出来上がっています

素材から仕上げる場合

当初は幹筋や枝順を決めず、とにかく肥培管理に徹しながら
「太らせる」ことを最優先させ、幹の太さが目的に近いところまで達してから樹形の基本作りにとりかかる

反対に、幼い苗の時代から幹筋と枝順の基本作りを意識し
無理な肥培はせずにコツコツと気長に培養する

大ざっぱに云うと以上の二通りの方法があります

ちなみに、最初の方法は短期間に太みのあるボディーを得ることができるが
基本作りのときに切り戻しの傷などができやすい

後者では、素直できれいな幹筋を得ることはできるが
力強い迫力のある幹筋を得るには、かなりの年月がかかります

つまりどちらにも長所と短所はあるんですね

しかし、ベテラン愛好家のほとんどは、ある時は徒長枝などをうまく利用しながら時間の節約をし
ある時は基本の骨格を崩さないよう、上手に制御しながら辛抱強く育てるなど

適宜に両方を使い分けることができていますね

あなたはこのチリメン桂はどちらの方法で培養されてきたと思いますか?
そう、几帳面で気長な愛好家さん向きの後者の方法ですね


今年の画像です

まず第一に気がつくのは、幹の太さはほとんど変わらないけれど
木肌の古色感としっかり感に3年間の培養の成果が感じられます

それと、親幹の上部から差し出された枝の利き枝の充実も目に入りますね
枝元のあたりが太っているのが見て取れます

また、樹冠部や各枝の棚もかなり吹き込んで充実してきましたね
もう一息の感じまでこぎつけたようです

太さは同じようでも、盆栽としてのポイントは以上のあたりです
3年前の姿と比べてみてください

両者の相違に気がつくようなら、あなたの観察眼は成長していますよ
もし、何度見比べても「?、?、?、どこが違うの?」だったら、これは勉強不足ですぞ


3年前の幹筋の拡大図


現在の幹筋

両者を比較して一番強く感じられたのは、「持ち込みの味」の違いです
とにかく古ぶるしく落ち着いた感じのことです

この持ち込みの味は盆栽にとって一番大切なことで、一種の「風格」ともいえるでしょうが
これらを感じ取るためには、普段から注意深く盆栽を観察し鑑賞してのみ培われる「眼力」が大切ですね

それでは今日のキーワードです
「持ち込みの味」・「風格」・「眼力」、それと素材の育て方に「二通り」の方法があるということでした

2010年5月26日水曜日

スクール速報・杜松

スクール常連のクロちゃんは愛知県渥美半島の出身
年はなんぼかな?、そう高校生の息子さんがいるといっているから、ざっと40代の半ばくらいだろう

田舎へ帰郷のおりに山取りし20年も培養しているという黒松などもを持っているので
盆栽歴はかなり古く、20代からやっているに違いない

そのクロちゃんの杜松
樹髙はやっと10㎝ほどで腰の据わった堂々たる模様木です

これも自身の山取りなのかな、そう思っていたんですが
聞いてみると、かなり以前に私から買ったそうで

失礼ながら私はどうしても思い出せないです(笑)
「いい杜松だねー、ますますよくなってきたよ」って、この杜松を褒めたのは決してお世辞じゃないですよ

自分の扱った盆栽類は、売買したときの値段や姿をたいがい覚えているのですが
この杜松については記憶がまるっきり抜け落ちちゃってるんです

まあ、それはともかく、伊勢杜松の山取り素材が市場からすっかっり姿を消した昨今(乱獲のためらしい)
このような持ち込みものはまことに貴重な存在となりました

さて、杜松の植替えは4月下旬から始めて5月いっぱいが適期です
植替え時期が来たのと鉢の映りがイマイチだったのでクロちゃんは5月9日に植替えました


太みもあって力があるので、奥行きのあるオーソドックスな外縁が似合いました
ちなみに、この鉢は陶翠窯で戦後の量産品ですが、さすがに土目もいいし形状も垢抜けています

クロちゃんには、なるべく安定感が出るように低く植付けるようにアドバイスしましたが
さすがベテラン、位置や角度にスンプの狂いもなく、正確な植付けです

植替えといっても、培養本位の仕立て鉢に植付けるのではなく
このように鑑賞段階に達した盆栽の植え付けは、前後左右や傾けの角度などがかなり微妙で

気に入るまで何度もやり直すことがしばしばですが
きょうは一発でうまく決まりましたね


正面の拡大図

植替えに際しては、事前に新芽をほとんど摘みました
これは新芽が伸び始めているので、根付くまでの木の負担を軽減するために必要な処置ですから

読者のみんさんもしっかり覚えておきましょう


鉢も決まったことだし、一ヶ月ほどの休養のあと
樹冠部を中心に輪郭をしっかり整えましょう

それにより、木の相はさらにスケールが大きく見えるようになるはずです
また、樹冠部がぴりっとすれば、足元の力強さもさらに目立ってくるはずです

今年の秋の姿が楽しみです

2010年5月20日木曜日

フリースクール速報・山ずみ

昨年の秋にご紹介したターさんの山ずみ
冬の間はターさんの休みが多かったので,元気かどうか気にかかっていました

というのも、昨年のターさんは、夏から秋にかけやや水を切らせ
秋の落葉期のかなり前から、わずかの葉を残している状態だったからです

そのときの状態は、すでにみなさんにはお知らせしたとおり
診断したところは心配なしとの私の結論でしたが、やはりその後の長い冬越しのあとですから・・・

さて、半年ぶりにお目にかかるずみ、状態はどうでしょうか?



ご覧のように、あれほどの気のもみようは、さいわいにも杞憂でありました
ターさんもかなり心配したらしく、仕立て鉢に移し用心深く冬越しの管理をしたそうです

さらに樹勢が回復しただけでなく実もしっかり成りました
やや樹勢を落としたことがかえって適度な制御となり、このような実成りにつながったのでしょう

ご存じのように、あまりにツンツンと勢いよく伸びる若い枝には花芽がつきません
花芽は適度に制御された中くらいの勢いの枝にくるのがふつうですね



葉がすっかり繁ってしまったので、不要枝の剪定はもう出来ませんから
芯の部分(カットパスターを貼った箇所)を一節つめて、もうしばらく様子を見ることにします

もちろん、実成り樹種でも楓やもみじの雑木類とおなじく
あまりに徒長した枝先や繁りすぎた葉は透かしたり葉切りをして、日光と風の通しをよくする作業は必要です

その作業はもう一ヶ月ほど先のことになりそうです

ターさん、ご無事でよかったね!

2010年5月19日水曜日

スクール速報・山もみじ

去年の夏にこの山もみじを手に入れたイーさんは、半年以上辛抱強く待ちました
芽摘みも葉刈りもせず、しっかり肥料をやりどんどんと樹勢をつけたのです

昨年の姿はここをクリック

おかげで元気いっぱいになった山もみじ
改造計画に沿ってばっさり切り込む適期となりました

もちろん、今春の彼岸前にやや大きめの現在の仕立て鉢に
水はけよく植替えておいたことも申し上げておきます

また余談ですが、この山もみじはイーさんが手に入れたあとに何人ものスクールの先輩たちに目をつけれられ
すでにイーさんの所有だとわかると、みなさんが残念がっていたんです

「これ、イーさんのだって、よくなるぞー」
「イーさん、枯れないうちに、おれに譲っちゃったほうがいいぞ」

こんな先輩達の励ましや脅迫(笑)を受けながら
イーさんはこの山もみじを手に入れたことにますます喜びを強くしているようです

さて、これからが大切な時期となります
みなさんの期待を裏切らないようにがんばりましょう、イーさん


2010/05/09 作業

イーさんの先輩のクロちゃんと私の意見も一致したので、ばっさりといきました
しょうじき、イーさんにはまだまだこの山もみじの将来図が描けてはいないようですが

いいんですよ、わからなくとも、論より証拠といいます
自分の持ち物が少しずつ出世するのを目にしながら、自分の目筋も向上していくんですから


赤点で示したところは胴吹き芽が吹きやすい箇所
青点は是非とも芽が欲しいのですが、芽が吹きにくい?の箇所です

その場合は呼接ぎという手段がありますから心配要りません

ちなみに、この山もみじの切り込みに際して、丸裸にするのが定石ですが
水揚げ用に主幹と副幹の頭の葉をわずかに残しました


現段階での将来予想図
ただし芽の吹く位置などにより途中での微修正は十分にありえます

イーさん、がんばりましょう!

2010年5月10日月曜日

昭和年代の後期に雑木盆栽の人気を独り占めしたことのある紅千鳥
その人気はものすごく、価格も現在と比べると想像も出来ないほどに高かったですね

そうなれば、ヒッパリダコの人気者にはまがい物が登場するのは世の常で
業界のあちらこちらで悲劇やもめごとが絶えませんでした

私は当時から、うさんくさいと感じたら手を出さすにかなり気をつけていましたし
もみじの品種に詳しい同業者に恵まれてたので、さいわいにも大きなトラブルに巻き込まれたことはありませんでした

それはともかく、ブームの最中はうわすべりな人気ばかりが先行し
盆栽樹種としての長所や美点を見る目は、脇に追いやられてしまっていたようです

しかし優れたものはやはり忘れられません、ブームが沈静化してしばらく経った今、改めてその長所が冷静に再認識され
真性の紅千鳥を求める愛好家さんも増えつつあるようです

そこで、昔取ったきねずかで
まがい物に引っかからないための簡単な紅千鳥の識別法をご披露しましょう

紅千鳥の盆栽としての長所は、葉の美しさだけではなく
幹肌のきれいさ、枝先のやさしさなどたくさん具わっています

ぜひともまちがいない真性の素材を手に入れ
じっくりと楽しんでください


やや黄色みがかった淡い赤色が特徴ですが
当時、春の芽出しの色が同じでありながら、真性とは異なる品種と思われるまがい物が出回りました

その中間種ともいうべきまがい物は、色彩その他はほとんど同じながら
この画像のような五つ手の中に、裾の左右にもう一つずつ手がついた七つ手が多く混じるものでした

ちなみに、真性のものにも、樹勢が良すぎたりすると葉型が乱れて
一本の木の葉の中に七つ手の葉がごく希に混じることもありますが

ともかく、私はこの端正な五つ手の葉であることを、第一の識別法としていました

今も、取り木用に地植えにしてある庭木の紅千鳥の葉の中に
みなさんへの見本用にと七つ手の葉を見つけたのですが、すべて五つ手で七つ手の葉は一枚も見つかりませんでした


出芽の色彩は樹勢や置き場所などによって少々の差異があります

注意

赤系の出猩々や清玄などは特徴がはっきりしていますから
ぞれらとのではなく、あくまで真性の紅千鳥とまがい物(中間種)との識別法を申し上げています


もうひとつの特徴が葉脈の色です

出芽の時期には黄色みを帯びていますが
この時期葉が固まるにつれ緑色を帯び、渋味を帯びてきた葉色とともに、神秘的な美しさをたたえてきます

それでは、間違えないようにね!

ちなみに紅千鳥は取り木が容易です
取り木用の種木を一本お持ちになって素材をゲットすることをお勧めします

2010年5月8日土曜日

スクール速報・コマユミ

スクール速報で初めてのご紹介になるイシくん
1才半のかわいい娘さんのパパで、30代前半のまじめな青年です(私の息子より1才年下!)

5年ほどの海外赴任中に日本の伝統文化である盆栽に目覚めたそうで
2年前の帰国を機会にこの道に入りました


遠く離れたで外国での異文化に囲まれた生活が
故国のよき伝統文化を再認識するきっかけになったのでしょう

イシくんは将来ふたたび海外赴任の可能性があるそうで
そのときまでにはと、心中密かに期するものがあるのではないか、そう私は想像しています

イシくんは住まいの関係や将来の海外赴任の可能性もあって
盆栽はたくさんふやさない方針ですが、そのかわり持ち運びの容易な水石にも強い関心をもっています

東洋の禅にも通じた精神性をもった水石趣味は
BONSAとともにSUISAEKIも国際用語となっていますから、きっとイシくんはそれらを外国人に伝えることが出来ると思います

さて、そのイシくんのコマユミに今年異変が起きてしまいました
その治療の過程をご紹介いたしましょう



4月の中旬をすぎても冬芽がほころんできません
枝先が枯れてはいませんが、枝先に瑞々しさと生気がない

このような状態を盆栽人は、「風邪を引いた」といいます
冬の寒さと感想で衰弱し、春がきても起き上がる元気がない状態です

それで、こんなときに有効なのは仮設の集中治療室(ICU)
場所はスクール兼用のビニールハウスの棚下の日陰、ご覧のビニールドームです



大切な注意点は、鉢内の水はやや乾かし加減にしながら
ドーム内の湿度を保つために地べたに直接置くこと

鉢内の水を控えるのは、例えれば
人間が体力が弱ったときには消化のいい食べ物にして、内臓に余分な負担を与えないことに通じます

つまり人間の内臓は植物の根と同じことなんですね



集中治療室に入れて約10日ほどの4月25日撮影

効果てきめん、早くも回復の兆しあり、ところどころの芽が吹っ切れています
左や芯付近の赤っぽく変色した部分は、水の上がっていない小枝なので枯れ落ちる感じですね

しかし部分的には落ちても、木そのものの命は助かりそう
あーよかった!


5月7日撮影

急激に回復しつつありますね、集中治療室の効用は抜群です
戸外の元気な盆栽たちにはかないませんが、体力を回復したコマユミは驚異的な回復をみせています


撮影後の夕方に、にわか雨が降り出しました
集中治療室から出す一番のタイミングは、ムロ出しと同じで湿度の高い天候が最適

さっそく戸外の棚へ

半日陰程度の置き場所で数日間は目を離さないように気をつけてやりましょう
葉の乾燥には特に注意

このまま順調に芽先が伸びるようなら
入梅くらいまでには他の盆栽たちの生育に追いつくはずです

ビニールドームはホームセンターの農業用資材コーナーに売ってますよ
困ったときにはぜひお使いくださいー!

土払い品500鉢

10日ほど前に隣市の某愛好家さんから土払い(どばらい)のお話しがあって引きうけることにしました。盆栽界で土払いというと、盆栽や鉢などすべての持ち物の売買のことをいいます。 プロでもアマチュアであっても、生き物(盆栽)の後継者がいない場合は売り払うか、さもなくば枯らすことになります...