2015年9月8日火曜日

黒松秋の手入れ

愛知のKさんのご依頼で昨年の10月から管理している黒松
2年がかりで取木をし、昨年親木から切り離したそうです

発根の数は僅か1~2本だったようですが、ご本人がおっしゃるように、「素人の怖さ知らずというやつで、
思い切りよく切り離してしまった」のがみごとに功を奏したようです


2015/9/04撮影

今年は、去年松戸に来た時と同じ鉢で
そーっと根の充実を図った一年間でした

短葉法をかけられるほどには春の芽は伸びませんでしたが
短いながらしっかりした芽先です


健康チェックととtもに
改めて将来に向けての樹形を検討してみました

1 立ち上がりの動きと力

2 立ち上がりから芯に至る幹筋の動きやコケ順など 

3 枝順と枝配りのバランス

以上を考慮してあらかたの正面を決めておきます


正面予定位置からの拡大図
赤線は木の全面を邪魔する明らかな不要枝ですから、これを切ります


後ろ姿


枝先の本格的な追い込みは来年以後にやりますが
その前に、古葉の整理をして各枝の強弱のバランスを整えてやりましょう



ピンセットで抜かずに、小バサミで古葉の元を1~2ミリほど残して刈り込む


樹高はわずかに10cmぴったり
それにしても、いい足元ですね

スクールの常連のクロちゃんとトリくんはこの黒松を見て
「すっごい腕前ですね、まいった、まいった」としきりに感嘆していました


来年以後も根作りに励みながら骨格を充実させていきます
また、輪郭線の短縮も心がけます(小さくする)


後ろ姿

根作りがあるレベルに達するまでは、あまり強い針金かけは出来ないので
後ろ姿はまだまだ不自然なところがありますが、ここで焦ってはいけません

ここまでしんぼうしたのですから
じっくり腰を据えて本格的な整姿はもう少し先へ延ばします(一年以上)

2015年9月3日木曜日

五葉松病害予防の消毒

昨年の04/24に「五葉松復活大作戦」という題名でご紹介した五葉松
その後に請われて今ではトリクンの所有物です

さて、その五葉松がとても調子がいいんですよ!

今年は植え替えもせず、そーっと水をかけているだけですが
葉数も格段にふえて色つやもかなり濃くなってきました

ちなみに、肥料は春から油粕の固形を2回、虫害の消毒はを数回やった程度で
置き場は50%の遮光率の寒冷紗の下です


2015/09/03撮影


春の写真と比べると全体にかなり葉数が増え、緑も濃くなっています
ただ、下枝の一部はまだ弱いところもあって来季への宿題が残っています


白線で囲った部分が弱いんですね
葉の色も冴えないし、芽の力が十分ではありません

さて、この衰弱の理由は「葉ふるい病」とは思えませんが
やはり一応、病原菌予防の消毒もしておいた方がいいと思います

ところで、薬剤は何を使いましょうか?
五葉松の病気はほとんどカビ菌類によるものですから、それらに効きそうな薬剤を選びましょうね

それでは

五葉松の病害用消毒薬の一例
トップジン
キノンドール
ダイセン
ボルドー
アグリマイシン

2015年9月1日火曜日

水切れ出猩々その後

水切れで全ての葉が落ちてしまったが、幸い急性だったために再び新しい葉が展開し
ご覧のようにすっかり回復しました

その後は前項の最後でお話ししたように
高温多湿の時期にもみじ類がかかりやすいうどんこ病などから守ってやることが大切です

消毒薬は、私はトップジンを使いましたが
ダコニールなども一般的によく使われますね


入梅期から夏にかけての高温時期はうどんこ病などが発生しやすい
新しい葉が展開しはじめたら、根や鉢土も含めて秋までに数回の消毒をお勧めします


消毒のおかげで新芽や新葉がこのようにきれいに展開しています


このようなきれいな葉が展開しているときもちがいいですね!

よろしいですか?

うどんこ病などの消毒薬は「カビ菌」に効くやつを選んでください
「カビ菌」に効く農薬はたくさんありますよ

それじゃ、よろしく

2015年8月26日水曜日

水切れの症状の見分け方

水切れは、急性よりも慢性の方が症状がひどく、回復しにくいことは既にご存じですね
(この場合の急性とは1~3回分、慢性とはそれ以上の水やり回数を目安とします)

08/21 急性水切れ・出猩々 でお話ししたように症状から判断すると
短期間に葉の大部分が落葉するようなら、案外に助かることが多いんですね

ところが、今日お見せする(↓の山もみじ)ように
まるで造花のように枯れたままの葉が落ちずにずーっとついている

こんな場合は症状に似合わず
ほとんど命は助かりません


葉の枯れた山もみじの超ミニ



指先で触ったくらいでは葉は落ちませんが・・・

先日の猛暑日が続いた数日間
日蔭に取り込んでおいて油断したんですね

気がついたら水が切れて葉がチリチリ
翌日あたりに葉の落ちた他の鉢は、その後に再び芽が吹いて助かりましたが

この鉢だけはご覧のように10日以上葉がついたままです
そして、木はとっくに枯れてしまっています(涙)



枯れ葉の拡大図

このようなかわいそうなことにならないよう
水切れには気をつけましょうね

2015年8月25日火曜日

ちりめん桂取木成功

3週間前の8月2日のスクールにトリクンが持ってきたちりめん桂
聞くところによると、ネットオークションで見つけた掘り出し物であるらしい

画像でおわかりだと思いますが、いずれ追い込むことになる徒長枝を取り木の材料にして
最後は基本の骨格を活かして、主幹のしっかりした株立ちをゲットしようとの魂タンですね

それにしても、トリクンがこのちりめん桂を植え替えたと思ったら
次いでいきなり↓のように2か所に取り木作業(環状剥皮)を始めたにのはびっくり

時期がちょっと遅いんじゃないの?
来年まで我慢した方がいいんじゃない?

ところが、それから23日のスクールまでわずかに3週間しか経っていないのに
ビニールの内側には早くも細いモヤシのように白根が見えてきましたよ

大成功!!

我々の頭の中には「取り木は春先の芽出し前か入梅前」という「常識」が
ドンと大きく居座っていますが

若い人は経験と知識が少ない分だけ、逆に積極果敢になれるともいえるのでしょう
来年まで待つなんてことは考えず、どんどん手を動かしていきますね

このように、若い盆栽人と交わっていると、ほとんど不動のものになっている我々の「常識」なるものがが
不意に揺すりをかけられることに度々遭遇します

そして失敗もありますが、成功すればそれはいずれ確たる技術や理論となって定着し
次の世代に受け繋がっていくわけですね

こんなに猛暑日が続くのに、環状剥皮で短期間に発根した理由は

1 もともと樹勢の素材であった
2 施術が正しく丁寧にされた
3 術後の置き場所が棚下の涼しい場所であった

と考えられます


日の当たらない棚下に置いたので葉の傷みがない
環境さえ整っていれば取り木の適期はもっと幅をもっても可能なようですね

こんな記事もありました


ビニールの内側に白根が見えますね


根っ子の拡大図


2か所とも発根

2015年8月24日月曜日

こぶし狂い咲き(猛暑日復活)

ネット歳時記でおもしろい俳句を見つけました

ほらごらん 猛暑日なんか作るから   中原幸子

夏日・真夏日・猛暑日とだんだん過酷な命名がされるので
極端な呼び方にすっかり慣れてしまったようで、まったく今じゃ猛暑日なんか当たり前ですね

盆栽棚では珍しく紅こぶしが狂い咲きです
この一週間くらいで先端の花芽が膨らんでご覧のように開花してしまいました

春、桜より早く葉が展開する前に開花するこぶしですから
このように緑を背景にするといくらか派手な感じがしますね

本番はちょっぴり寂しげな雰囲気をもった花だと感じているんですが
みなさんはどんな印象をおもちですか?


さて、暑い暑いと言い続けていたこの夏も、立ち止まってみればもう8月も下旬
盆栽人としてやるべき秋の手入れがいっぱい迫ってきています

消毒は?肥料は?
寒冷紗だって一ヶ月以内には外すことになるんですよー!

こりゃ、がんばらなくちゃ!!!
暑さ復活だなんて、だらけていてはいけませんな!!!

2015年8月21日金曜日

急性水切れ・出猩々

昨シーズンからお二人で通っていらっしゃるIさんご夫妻
お二人の今季の課題は、昨年手に入れたこの高級品の出猩々もみじを何とか維持することでした

でした・・・というのは、途中でその出猩々にひと破乱あったからですが
正直、Iさんから「葉が徐々に枯れ落ちてしまいました」とメールを頂いたときはドキっとしました

Iさんのお住まいが高層(13階)とうかがっていましたし
何よりも、まだ二年目の超新人さんですからね


8/20撮影

16日のスクールでお目にかかるまでは
半分くらいは諦めの境地というか、もしものときの覚悟はしておきました

その段階では今ほど新葉は展開されていず
枯れ葉もいくらか残って、もう少し惨めな姿でしたが


さすがベテランのツカさんやヒーさんなどはこの出猩々の
枯れ葉の縮れぐあいや落葉の度合いなどから、おおよその予想はされていたようです

「大丈夫、生きられそうだ!」

もちろん経験の浅いIさんご夫妻には、これから先の成り行きは読めるはずもありませんが
これから盆栽をやっていく上でいい経験になったと思います


入院から4~5日
新葉が力強く展開してきました(枝葉の乱れは改めて剪定しましょう)

よかった!助かりましたね
初めて診察したときに、葉の枯れ方と縮みの症状から見て、これは急性の水切れだと判断しました

大まかに分けて水の切れ方も
徐々に慢性的に水不足が繰り返された場合と、急激ではあっても一時的な水不足による障害とがあります

ちなみに、慢性的水不足の繰り返しによる場合、縮れた枯れ葉がいつまでも落葉せず
急性の場合はゾロっというか、いっぺんに大量の葉が落ちるのが特徴的な症状です

そして、急性の水切れの方が比較的回復しやすく
慢性的な水切れによる葉ふるいは、なかなか立ち直るのが難しいんですね

急性の方がダメージが深部に達していない
そのように判断してよろしいでしょうね

というわけで、Iさんご夫妻の大切な出猩々はどうやら急性の水切れによるもので
もうしばらくの養生により何とか回復しそうな感じです

やれやれ、よかった!!

初期の段階で高級品を枯らすと、それがトラウマになって
その後の趣味人生で足を引っ張られますからね(笑)


出猩々もみじの春の新葉はすべて落ちてしまって
これから出揃うのは新しい葉です

高温多湿の時期は「うどんこ病」などが発生しやすくなりますから
トップジンなどで根と枝葉をしっかりと消毒してやりましょう

土払い品500鉢

10日ほど前に隣市の某愛好家さんから土払い(どばらい)のお話しがあって引きうけることにしました。盆栽界で土払いというと、盆栽や鉢などすべての持ち物の売買のことをいいます。 プロでもアマチュアであっても、生き物(盆栽)の後継者がいない場合は売り払うか、さもなくば枯らすことになります...