2016年9月24日土曜日

初級・中級盆栽集中講座(8):取り木(獅子頭もみじ)

超初級から中級くらいまでを中心に(たまには上級編もまじえて)盆栽の手入れに関するご指導する初級・中級盆栽集中講座シリーズです。

  • 時期:2月下旬から6月中旬まで(最適期は関東で2月下旬前後・それ以後も充分可能です)
  • 適用樹種:獅子頭もみじ・楓・山もみじなど(獅子頭もみじ以外は5月中旬が最適期)
  • 道具:ハサミ・ピンセット・切り出しナイフ・やっとこ・針金・ビニール網・水苔・用土
  • レベル:超初心者から達人まで
  • ここがポイント
    • 皮を剥く幅を怖がって狭くしない(幹の直径の1.5倍以上が目安)
    • 切れる刃物を使う
    • その後の管理 作業後、葉水をタップリかけて冬なら室へ、春夏は棚の上で培養
教材:獅子頭もみじ接木素材(取り木後完成予定樹高6cmの超ミニ)


取り木をかける個所を決めたら幹の直径の1.5倍を目安に
マジックで印しをつける


皮をむいた写真
ここでのポイントは形成層(アマカワ・上皮と木質部の間にあるん緑色のぬるぬるした部分)を
完全に削りとること


完全にアマカワを削り取って木質部が露出した状態
剥かれた上部の皮の部分から根が出てくるので
もう一度丁寧に削りなおす
この部分にカルスが形成されそこから発根する
(切り口が粗いとだめですよ)


1cm目のフルイでうらごしした水苔


赤玉土8対桐生砂2の割合の用土


ビニールの底網を円形に立て
用土を入れる準備


8分目ほど用土を入れたら
図のように針金で固定
これで新しい根の受け皿ができたというわけです


傷口が完全にもぐるまで用土を入れる


サット軽く水をやってから
水に30分ほどしたしておいた水苔を
丁寧に敷きつめる
用土の表面が荒れて削った部分が露出しないためと
常にある程度の湿り気を保つためです


完成図


完成図

その後の管理
  • 置き場所
    • 2月下旬から3月中旬に作業したものは冬囲いをする(凍らない程度でよし)
    • それ以後のものは、日当たりよく風当たりの強くない場所で管理する
  • 水やりと施肥
    • 普通どうり
    • 但し過度の乾燥は禁物
    • また取り木をかけた部分への施肥は禁物(根がない)
    • 鉢の部分へ施肥は普通どうりやってください
  • 発根
    • 山もみじなどは5月に施術すれば1ヶ月で発根しますが
    • 獅子頭もみじの場合は2月下旬の作業で早くとも5月頃の発根です
    • それ以降になっても諦めないでください
    • 一番の禁止事項は、取り木をかけた個所を、様子が見たくていじくってしまうことです。細胞分裂をおこしている柔らかい成長点を傷つけることになるからです。発根すれば網の目から細いもやしのような根が出てきます。気長に待ちましょう
  • 切り離し
    • 一応秋頃の予定ですが発根の程度によって違ってきますので、続編をいつか開講します。そして新たな技術もご披露し、より発根の状態のよいものを作っていきたいと思います

初級・中級盆栽集中講座(7):黒松・赤松の古葉取り

超初級から中級くらいまでを中心に(たまには上級編もまじえて)盆栽の手入れに関するご指導する初級・中級盆栽集中講座シリーズです。

  • 時期:秋10月下旬から来春3月一杯(冬が鑑賞期、できれば年内にやろう)
  • 適用:樹種 黒松・赤松
  • 道具:ハサミ・ピンセット
  • レベル:超初心者から達人まで
  • ここがポイント
    • 基本的には古葉は全て取るが、今年の葉も全体のバランスを見て多すぎるところは、減らしようにする
    • 強い小枝に勢いが集中しないための作業である(古葉しかない芽は古葉を残す)
    • その後の管理 作業後、葉水をタップリかけてやるといい、金っけ(金物のあく)を取るため
教材:黒松懸崖


7月初旬に今春の新芽を全て摘んだ(短葉法・たんばほう)
その後に出た二番芽の葉と昨年の古葉が混じっている
鑑賞上も好ましくないし、葉の量が枝によって違うので
樹勢の均衡がとれないので、古葉を取って調整する


ピンセットで一芽づつ丁寧に古葉を取る
芽先は指を下からそっとあてがい、痛まないように押さえる


無理に引っ張ると痛むようなら、ハサミで切ってもイイ
ミニや小品はこの方が芽先を傷めない
過程で、混んだ芽は摘む(一箇所から二芽が理想)


大盆栽と違って小品はやはりハサミで切った方が
枝先を痛めない、こちらを勧めます


現在下半分の作業終了
懸崖の下垂した枝はどうしても上部に比べて勢いがつきにくいので
上部は新葉も少し取り除き、全体の均衡を取るようにする


作業終了
上部に比べて下部がやや弱いので
来年は、下部を徒長させて勢いをつけるようにする
また鉢は丸鉢にした方がいいだろう


取り木の素材も古葉の整理をしよう


作業終了、こんなにきれいになった


これは赤松、古葉がついていると鑑賞上もさっぱりしない


作業終了、上の写真と比べてみて下さい

初級・中級盆栽集中講座(6):長寿梅の 植え替え

超初級から中級くらいまでを中心に(たまには上級編もまじえて)盆栽の手入れに関するご指導する初級・中級盆栽集中講座シリーズです。
  • 時期:秋の彼岸前後(春の植え替えは根にコブのできる病気が発生しやすいから避けること)
  • 適用樹種:ボケ類全般
  • 道具:全て
  • レベル:超初心者から達人まで
  • ここがポイント
    • ボケ類は必ず秋の植え替えとすること(3年に一回)
    • 用土は赤玉土7:砂3の割合
    • 他の樹種の植え替えと違って、根を切るよりも用土の取り替えをするという心構えでやって下さい
    • 使用予定の鉢を数個は用意しておくこと(1個だけだと映らない場合にアウトです)
    • その後の管理 日当たりのよいところへ置く、水を切らさない、風を避ける(日陰に置くと過保護になって何時までも活着が遅れます、せめて半日陰です)
教材:長寿梅の小品(木の植え付け方と鉢の選定を心掛ける)


いきなり作業終了、完成の図
鉢は楕円の鋲うち太鼓胴(びょううちたいこどう)
鉢を思い切り小さくし、植付けも懸崖風にしてみました
根上がり状なので、そこも強調しました
この先2年の丹精で樹格が見違えるように向上するでしょう
楽しみな木です
樹高8cm(根元より) 左右13cm 超ミニです


作業前の図
植付けも鉢も気に食わないんです
根上がり状に立ち上がってからが、いけません
鉢と幹が水平になっていて面白みがないでしょ
なんとか木姿に動きを出して、変化と調和をねらいたいんです
とにかく鉢から抜いて、根をさばいてみよう


きれいな根です
根に病気はないので一安心
ボケ類には癌腫病といって、木の根元や根に癌状のコブができることがあります
見つけたら切り取ります


とりあえず植え付け方の構想を練りましょう
新しい図を模索するのは楽しいものです
このように立ち上げてみるのは?
根上がりなので不安定ですね


このように懸崖風にしたら?
んーとッ、けっこういけそうです
見方によっては欠点ともいえる根上がりも、長所として見られます
よし、決めた!


さっそく懸崖用の鉢に入れてみます
世の中けっこう困難はつき物ですね
下垂した幹が鉢の縁にぶつかって、うまくいきませーん!
こりゃまいった!
第一の挫折です
こんなときのために幾つかの鉢を用意しましょう


仕方ないので、第二候補の楕円の太鼓胴の鉢に入れてみます
おお、けっこう映るじゃんか!
木の相も大きく見える
やっぱり実物を試すのが一番です
よっしゃ、これでいこう!


鉢の準備
段取りだけは丁寧にしないと後で後悔しますよ
いいですか


ゴロ土を入れ、用土を少し入れてから,竹箸でよくつつきます
次に針金で根をしっかりと固定します
ここもポイントですね
グラグラしていると根付きが悪く、いつまでも元気が出ません
初心者の方が犯す、代表的な失敗の一つです



新しい植付けに準じて,全体の姿をハサミで整えます
当然切る枝もでてきます
そうすれば仕上げの一歩手前です
この常態に水苔を張ります
見栄えももちろんですが、根が露出しています、それを保護します
これで作業終了です
前に戻って完成の図へ行ってください、いかがですか?
以上です
簡単でしょ?
いいですか、ボケ類の植え替え適期は秋の彼岸前後ですよ、忘れないように!

ちなみに、この長寿梅は盆栽市場に売りに出されていたものです
鉢代等で¥5,000高くなってしまいましたが
それに充分見合って樹格が向上したことは、言うまでもありません

2016年9月17日土曜日

舞姫もみじボディー作り

今年の6月に、今日と同じく「舞姫もみじのボディー作り」の題名で書いた時のつれづれ草の教材を
ネットのお客さまに欲しがられたのですが

あいにくその舞姫は先週の日曜日に遊びに来た市内の親しい友人に欲しがられ、買っていただいたばかりだし
もう他の目ぼしいものもほとんどなくてハタといきづまってしまいました

さらに、その舞姫をつれづれ草を見た方から、貴方の友人からその舞姫を購入(買い戻す)することが可能かどうか知りたいのだが
いかがでしょう?とのお尋ねがあり、慌てふためくこととなる

小葉性の舞姫もみじに魅せられて、取り木や挿し木で繁殖してやや3年ほど
やっと本数も殖えてきましたが

正直、昨年あたりまでは数を増やすのにも気を配らなばならず
ひたすらに木姿重視の剪定を優先するわけにはいきませんでした

今年なってやっと本数だけは目標に達したので
剪定の際にも惜しげなく枝を切り落とすことができるようになったのが実情です

つまり、今年になってやっと量より質への道程へ入ったということで
上述のような人に欲しがられるような木筋のいいものはめったにないのです

そう、確率でいうと取り木素材の中から20~30本に一本あたりがやっとで
もしかすると50本に一本くらいかもしれませんよ

来年以降になれば期待のできる素材が少しは出てくるでしょうし
私の手順も向上して、いいものができる確率も上がってくるでしょう

それまでは、とにかく我慢と辛抱
焦っても無駄な骨折りになるばかりです

ボディー作りは何よりも辛抱が肝心
急がば回れ!!

ところで欲しがられた舞姫はと申しますと
ことの成り行きを理解してくれた友人があきらめてくれたので、新しい持主の元へと旅立ちました

2016/06/01  2016/02/19  2015/11/23  2014/10/02  2014/01/20

そんなわけで、目指す道はまだまだ険しく思うようにはいきませんが
遅々とした歩みであっても確実に進歩はしております

がんばりますので
何卒ご声援を!!


自家製の取り木素材
個性的な懸崖を目指しています

足元の間口は3.5㎝で樹高は6.0㎝くらいを目標にしています


来春にはボディーのみ残して大幅な切り込みを行います


主要な骨格


来春の大幅な切り込みの後に樹芯と一、二の主要枝の骨格を作ります


この木も楽しみしている優良素材です

変形な株立ち樹形ですが
ゆくゆくは単幹の模様木へと変貌させたいと思っています


赤点の箇所からの不定芽を期待して
来春から入梅ごろを目途に追い込みのいチャンスを狙います


正面の足元の左右は約5.0㎝あります
目標の樹高は6.0から7.0㎝で、ずんぐりとした力強さをポイントにします


これはちょっとボリューム不足ですが
少し時間をかけて臨みたいと思っています


不定芽が多そうな感じが楽しみです
まだ未知数な部分も多いのですが、足元の動きにおもしろさがあります

あまりたくさんはご紹介できませんが
ともかく頑張っています

一本一本の素材の個性を尊重して
妥協のない樹形を徹底的に探求していきたいと思います

どうかよろしく

2016年9月7日水曜日

五葉松病気発症か!?

私の盆栽友達のAさんが15年ほど前に取り木したもので
その後数年間スクールのベーヤンの所有だった九重(八房五葉松)

この2年間ほどは再び私の所有になっていて
毎日見慣れた常連として我が家の棚をに賑わしてくれている一品です

八房とはいえ小品盆栽のいい木が極端に希少な市況です
私もこの木には大きな期待をかけているんです


5年ほど前に我が家へ来た時よりも
枝数は減ったけれど、形は格段に整いました

特に足元の力強さが見どころで
取り木のために四方に踏ん張った根張りが圧巻です


ところが、昨年のやはり今頃
ある気がつくと、突然に葉が赤らんで傷んでいました

水を切らせた覚えはなかったものの、あまりの突然に、やはり水を切らしたのかと思っていましたが
その後も何となく釈然としない感じでまた今年も同じ季節が来たわけですが

するとどうでしょう、樹勢回復のために春に仕立鉢に入れかなり調子が上がってきていたのに
またも葉が赤らみ枯れ葉がいっぱい出ているではありませんか


側面より眺めた図

全体にマダラ模様に枯れ葉が発生
まったく影響を受けずに青々した枝先も存在します

赤線で囲ったブロック右上のブロックには枯れ葉がいっぱいで
後ろ枝にあたる左の二本の枝は枯れ葉は出てません


枯れ葉の出た枝の拡大図
どうも・・・単なる水切れの感じではなく病気に罹った感じですね・・・

昨年同様残暑の季節、それに蒸し暑くて
病原菌のはびこり易い陽気ですからね


ともかくカビ類の病気に効果のあるトップジンで根と枝葉を消毒
半日蔭に置いてしばらく様子を見ることにする

さあ、どうなる!!

2016年8月26日金曜日

鉢の磨き方

盆栽は生き物ですから毎日の水やりはもちろん
時期による手入れは欠かせないので、いわゆる手がかかります

その点、鉢の方は、ねばならない、という差し迫った手入れはないので
傷をつけないように収納や保管に気を配ってやれば、基本的にはそれで十分です

気に入ったものを眺めたり掌(たなごころ)に抱いて撫でまわしていれば
それでいいのですから、盆栽に比べて楽なものです

まあそれでも、たまに引っ張り出して木綿の布で乾拭きくらいはしてやってください
そして、手指の脂分で渋めの光沢が出てくるのを気長に待つことです


手指の脂分だけでは待ちきれない方は、薬局で椿油を求めてください
肌や髪の毛にも塗れる天然100%のやつです


小鉢の場合はティッシュか脱脂綿に少しずつつけてよく刷り込みます
その際決してつけ過ぎないように気をつけます

揚げ過ぎのの天ぷらみたいに
脂でテカテカに光った鉢を見かけますが、あれは品が悪い(笑)


よく刷り込んだあとに木綿の布で余分な脂を拭き取る


鉢磨きのポイントは脂をつけ過ぎないこと


伊藤屯洋の焼締長方鉢
新品を長いことしまい込んでおいたので、何となくボンヤリとした質感です


天然100%の椿油をつけて磨きました

焼締の土の本来の色が冴えてピリッとして見えます
使い込んだ鉢ではありませんが、質感に陰影が出て落ち着いた味わいが出てきました

いかがですか?
こんな感じでけっこうです、愛蔵の盆栽鉢、こんな感じで磨いてやりましょう

たいした準備はいりませんよ
椿油と木綿の布だけです

2016年8月24日水曜日

液肥の勧め・ハイポネックス

湿度の高い入梅中や急に温度が上がる入梅明けの時期には
ボリュームのある固形肥料などは原則として避けています

ですから、当然その流れで真夏にも肥料はやらないので
夏の終わりの近づいた今頃にはかなりの肥料切れの状態になっているはずです

今日は上陸して北上した台風9号が北の海に消えてやっと一息
棚下へ避難させた盆栽たちを整理しながら、数日内に固形肥料をやることにしました

ところで、固形肥料の場合、施肥されたその成分が分解・吸収されるまでに約10日位かかり
効き始めてからの持続は約10日間程といわれています

ということは、例えば毎月の1日に施肥するとすると、肥料が効いているのは毎月の10日から20日の間で
月の始めと最後の10日間(合計20日間)は肥料っけの少ない状態ということになるわけですね

ここで私が何を言いたいかって言いますと、以上のことから

鉢上に黒くなってゴロゴロと転がっている油粕肥料の残骸は
その存在感ほどには既にその効き目はあまり期待できないってことです

例えば、毎月1日に施肥をしても効いているのは真ん中の10日間だけで
最初と最後の10日間(合計20日間)は文字どおり、お休み状態なんですね

そこで私は、そのことを知ったかなり昔から、置き肥の欠点をカバーするために
↓で紹介するハイポネックスという液肥(えきごえ・えきひ)を補助的に使っています


ハイポネックス


希釈倍数は2.000倍

薄すぎても効果が少なくなりますが
それでも濃すぎるよりはましです

くれぐれも液肥の濃すぎるのはダメですよ


大きなバケツ(私のは50ℓ)


灌水替わりに如雨露で頭からやる
このような葉面散布も効果あり


希釈倍数2.000倍なら量は関係なし
頭からジャブジャブ

肥料っけの少ない一ヵ月の最初と最後 の10日間に1~2回
灌水替わりの場合は晴れの日がいいでしょう、頭からタップリとやってください

一ヵ月の真ん中の10日間は
ちょうど肥料が効いている期間ですから、液肥はお休みですよ

それでは、この秋から始めてください!!

土払い品500鉢

10日ほど前に隣市の某愛好家さんから土払い(どばらい)のお話しがあって引きうけることにしました。盆栽界で土払いというと、盆栽や鉢などすべての持ち物の売買のことをいいます。 プロでもアマチュアであっても、生き物(盆栽)の後継者がいない場合は売り払うか、さもなくば枯らすことになります...