2004年6月22日火曜日

青閑の高松塚

一昨日(20日)の朝日新聞の一面トップに
「高松塚『白虎』劣化進む」発見32年輪郭ぼやけ変色
とありました

世紀の発見からもう32年も経ったのですね
過ぎ行く歳月の速さへの感慨と、私達日本人の偉大な遺跡が損傷することの憂いから
改めて青閑の「四神」に触れておきます

この「四神」は昨日紹介した「双葉山」とともに、青閑の生涯で最も異色な作品であり
健在であれば今年で93歳のはずの青閑の、61歳以降の作品です

いいですか、みなさん、61歳ですよ
私は61歳にしての物見高さと、吸い取り紙のような柔軟な吸収力、これに感動しています
青閑は、根っからの江戸っ子特有の野次馬根性(好奇心旺盛)の持ち主だったのですね

「双葉山」といいこの「四神」といい、時流のニュースは見逃しませんでした
伝統の江戸文化のの素養のみを土台にして鉢作りをしていたのではありません
老年に差し掛かってもなお、みずみずしい感性をもった素敵な下町のおじさんだったのです



柴崎青閑作  銘「四神」   (共箱・共布付)(全品無傷)

上段左は箱の正面、江戸指物師の伝統の技がみられます
上段右は箱裏に山水画、中蓋に銘があります

下段左、共布にくるまれた箱の中の4鉢、引き出しの小物入れ
下段右、表蓋を屏風にして4つの鉢を飾ります

東西南北を守る四神「青竜」「白虎」「朱雀」「玄武」を浮彫にし
屏風には中国風の山水画を描き、みごとな箱をしつらえたトータルで楽しめる鑑賞品です


東を護る青龍
小さいながら青閑の彫刻はみごとなヘラ使いを見せています


西を護るのは白虎
焼シメの土目のよさが目立ちます


南を護るのは朱雀
細部の描写にも手抜きはありません


北の護りは亀
大蛇と戦う亀の姿が力強く彫り込まれています



四神は四季をも表しています
「青龍」は春
「朱雀」は夏
「白虎」は秋
「玄武」は冬

青閑の博識にも感心しますね
すべて青閑の落款付の共布です

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