私が若いころに親しく接した盆栽人たちについてお話してみます
浮世離れした、まるで落語に出てくるような愉快な人々です
まずは東京のMさんです
お洒落で”粋”な人柄で、おまけに凝り性です
盆栽には”惚れっぽくって飽きやす”いので商売はあまり上手とはいえません
つまり道楽七分で商売をしている人でした
人生観も簡単明瞭でこんなふうです
「いいかイ、宮本、おめーはな、いい人わるい人ってゆーけどな
おれにとってのいい人ってのはな
おれに親切な人かおれに儲けさしてくれる人だよ、その反対がわるい人さッ」
欲しくて仕入れた盆栽も、一月も売れないと飽きてしまい
遊びにゆくと「おれ、あれ飽きちゃった、半値でいいから持ってけよ」です
Mさんは着るものにも凝っていました
あるセリ場で、Sさんという同業者がMさんに言葉をかけました
「Mさん、わしの持ってるもんで何か欲しいものないかい?あったら買ってくれよ」
「あーあるよ、あんたの持ってるもんで一つだけ欲しいもんがあるんだよ、Sさん」
「何が欲しいんだい、何でも売るから買ってくれよ!」
「おれはな、あんたの着ていコートが前っから欲しくてたまんねえんだよ、売ってくれい!」
二人のやり取りを聞いていた私達はびっくりしました
もちろん盆栽の話をしているつもりのSさんが一番驚いたでしょう
自分の着ているコートを欲しがられるなんで、誰だって思わないでしょ
ところがSさんは
「うーんッ、Mさん、いくらで欲しいんだい?」ときました
とっさにMさんは三本の指を出して「30万で買おう!」といいました
かたずをのんでSさんの顔を見守っていると
「よーしッ、30万で売ろう!」とSさんは叫びました
寒中の寒いさなか、Sさんは潔く毛皮のコートを脱いでMさんに手渡しました
もちろんMさんは現金30万円をその場で支払いました
あとでSさんに聞いたところ、あの毛皮のコートは新品で100万円の高級品だそうです
2年ほど着たので古着ですが、着こなすほどに皮に味の出る品物だそうです
(それにしても帰り道はさぞ寒かったことでしょう)
他人の着ているコートを売れっていう方もいう方
それを目の前で脱いで売る方も売る方
どちらも子供のように無邪気なゲーム感覚です
Mさんはそのコートいまでも愛着を込めて着ています
これは飽きないようです
今は第一線を退いたMさんは大好きな骨董を趣味として
あいかわらず元気に夜遊びをもしています
よき人生かな!
私もずいぶんこの人にはお世話になりました
2003年6月18日水曜日
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